じゃがいもという本当
じゃがいもの本格収穫が始まりました。
今年は借金をして芋堀り機械を新調したので、掘り取り自体はスムーズですが、これまた一緒にローンを組んで四坪のプレハブ冷蔵庫を建て増して、月々の返済の象徴としてどうやっても毎日この目に入れないわけにはいかないほど、メインの畑に鎮座ましましているのですが、この中に掘ったじゃがいもを間髪入れずにどんどこ入れていくつもりが、電気工事が月末で、それまでは巨大なただの箱なので、あんまり掘りすぎても貯蔵の面で恐ろしく、というのも、貯蔵温度が高いと掘った芋がダメになり、そうかといって電気が来て冷蔵庫が稼働するその日まで掘らずに待つのも、今度は土中の湿気でダメになる割合が増えるので、どっちもどっち、そうとなればおっかなびっくり掘る他なく、だけどもあまり一気に大量に掘りすぎないという半端な対策をとることになり、とりあえず掘った芋は扇風機の風で乾かし続け、この風が届くくらいのコンテナ数なら、200ボルトの電気が流れるまで、これでなんとか持ちこたえられそうです。
それでもまぁ、じゃがいもの収穫の手ごたえとしてはなかなか良くて、全部掘ったら例年通りかそれ以上の貯蔵量になり、生きた冷蔵庫に入れさえすれば品種によっては春まで持つので、この安心感といったらありません。
田んぼをやっていない、うちのような農園は、米はないけど、なにかあったらじゃがいもを食べて生きていけばよく、大人一人が一日2000キロカロリー必要とすると、じゃがいもだったら200㎡分くらい作れば一年やっていけるという計算で、面積当たりのカロリーは米に匹敵するくらいなかなか高くて、だとすればうちの作付け量ならばスタッフみんなの家族がじゃがいもだけで細々生きていけるくらいのカロリーが手元にいつでもあるというのは、銀行口座に何桁もの数字がどんだけ並んでいたとしても、もはや比べものにならないほどの圧倒的な実在ぶりで、この桁違いの安心感を得るために借金をして掘取り機と冷蔵庫を買ったこの判断は決して間違えないのであって、月初にくる返済も嬉々として払おうと、こういう理屈で心を慰め、奮い立たせているのです。
本当にうちの銀行口座といったら、数字がちょっと通帳に寄り道していって、滞在したと思ったらすぐに各方面に散り散りに散らばっていってしまい、いつも大変寂しくて、もう後ひと月でもうちで休んでってくれたらだいぶ違うのになとは思います。だけども所詮はただの数字です。そんなことより、じゃがいもが山のように保存されていたらそれでまったくいいのです、その方がむしろいいのです、と思うしかないのです。
(ニュースレター記事より)
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