小さい秋
お盆はうちの農園はわりとゆっくり過ごします。
社員のフジタさんやさっちゃんは連休に入り、農作業メンバーはぼくしかいなくなるので、出荷は出荷メンバーの来れる人のみで変わらずやりますが、畑での農作業はほとんど休みになり、ほとんど休みだと思いながらぼく一人いつも通りの作業をやるのですが、そういう気持ちでやる仕事とは気楽なもので、本当は休みなんだからやった分だけおまけのようで草刈りなんかどこでやめても充分で、だけどもやればやるほどおまけが増えて、するとなにやら得をしているような感じになってしまい、そうとなると貧乏性のこのぼくです、本当は休みなのにかえって働いてしまい、これはいいのか悪いのか、もうよくわかりません。
どちらにしてもお盆までは農作業的にはあまり焦りがありません。この時期のこういう心境は実はここ数年の新しい事柄で、というのも、それまでは七月入れば芽キャベツやらミニ白菜やらカリフラワーやらの種まきが始まって、七月末には定植で、そこからはもうつぎつぎ種まきが始まり、この辺で人参が発芽してなければ必死で水やりをし、お盆までには済ませておきたいことがたくさんあって、済ませておきたいことが首尾よく済んだことなんて当然ないのだから結果お盆にしわ寄せがいき、あげくお盆だからどうだというのが全く関係ないというのがこれまでの通常でした。
それがどうして変わったかというと、ここ数年の夏の怒とうの暑さが原因で、何年かはそれでも変わらず頑張ったのですが、植えたもの蒔いたものが暑さで全滅することが多くなり、それならばと潔く白旗をあげ、今ではお盆過ぎたら一所懸命頑張ろうという心持ちになりました。 実は、夏が暑すぎるだけではこういう心境にはなりにくく、それ以外にももう一つの要因が必要で、それは秋の縮小で、というよりも夏の時期の拡大で、そうでなければこれまで通り暑い中でもなんとかかんとか作付けを進めなければなりません。というのも、暑い夏をなにもしないで呑気にやり過ごし、そこから先に通常の心地いい秋が来てしまうと、野菜の生育が緩慢になりそこから遅れを取り戻せなくなり、冬に後悔することになってしまいます。
ところがこのところの暑さときたらは局所的ではなくなり時期をまたいでまんべんなくダラダラ続き、するとこれまでお盆までには蒔かなくては、と思っていたものが9月に蒔いても全然間に合うことになり、10月だって夏の雰囲気が漂い続け、冬が来るまで全体的にいつまでも暑さが残り、野菜はとどまることを知らず伸び続け、秋という季節がずいぶん縮小したことが、ここ何年かの様子からとうとう確信的になりました。
小さい秋をこちらから積極的に見つけていかないと、もう秋は目に入らないくらい限定的になってしまい、その分夏が幅をきかせ、このおかげでお盆が休めるようになったのですが、これについてもいいのか悪いのかもうよくわかりません。たぶん大局的には悪いんじゃないかなぁという感じはします。
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